オフィスラブはじまってました
「今はひなとの部屋なんですが。
 来月には引っ越すので、週末には、もう片付けようかと。

 いえ、大丈夫ですよ。
 たいした荷物もないので、二人で。

 同じアパートの人たちも手伝ってくださるそうですし。

 ああ、でも遊びにいらしてください、お暇だったら」

 二人で盛り上がっているので、すっかりいじけて寝袋で丸まっていたひなとだったが、柚月が、

「短い間でしたが、この部屋には、ひなととの思い出が多いので名残り惜しいです」
と言うのを聞いた。

 チラと見上げる。

「ひなとと一緒に作った血塗られた夕食も、血塗られた棚も。
 今となってはすべてがいい思い出です」

 柚月はしみじみと語っていたが、兄は、

「なんだ、血塗られた夕食って……」
と言っていた。
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