オフィスラブはじまってました
 ふたりで、
「おお、藤田じゃないか」
とか言って、それをきっかけに、なんだ、同じ会社だったのかーと言えばいい。

 そんなことを考えている間、ひなとは、
「いらないかと思って、捨てたものって、何故かすぐいるんですよねー」
 などという話をしていたようだ。

「大きな鍋とかも、普段使わないんで。
 邪魔だなーとか思ってたんですけどね。

 でも、捨てたり、実家に持って帰ったりしたら、その途端に、いることになったりするんですよねー」

 だが、柚月はその言葉に違和感を覚えていた。

「鍋?
 お前、自炊とかするのか?」
とつい、訊き返す。

 確か、最初に会ったとき、
「お弁当屋さんもコンビニも遠いなんてっ。
 一体、なにを食べたらいいんですかねっ?」
と叫んでいたような気が……と思っていると、ひなとは、

「いや、一年前までは、ときどき自炊してたんですよねー」
と言い出した。
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