極上イケオジCEOのいちゃあま溺愛教育 ~クールで一途な彼の甘い独占欲~【完結】
14.極めつけのブラック会社だったなんて…!
そこは長いカウンターと椅子がずらりと並んでおり、仕切りがいくつもあった。
空いている椅子に誘導されて、ちひろはそこに腰をかける。
目の前に、年の頃四十歳前後のいかにも仕事ができそうなきれいな女性が座っていた。
細い銀フレームの眼鏡をかけており、一見冷たく見えて思わず身構えてしまう。
胸には「長谷川菜月」とかかれたプレートが掲げられている。
彼女は人差し指でフレームをくいとあげると、おもむろに話しかけてきた。
「これまでの状況を詳しく説明してください」
「は、はい」
ちひろは、順を追って彼女に説明を始める。
長谷川は、ところどころで補足を求めてきたり要点をまとめてくれたりして、ちひろが話をしやすいように誘導してくれた。
その間もノートパソコンにカタカタと打ち込みをしているから、とても器用だ。
(仕事できますって感じ。すごく憧れちゃう……)
ドジばかりのちひろとは雲泥の差だ。
ひとしきり話を終えると、彼女が椅子から立ち上がり、後ろのテーブルに置いてあるプリンターから排出される紙を取り上げた。
再び正面に座ると、真面目な顔でちひろをじっと見てくる。
「中杢さん。残念なお話ですが……」
ちひろは、彼女の口から衝撃の事実を知らされた。
「あなたは雇用保険に入っておられません。つまり失業保険が支払われないということになります」
「え、でも……毎月天引きされていたように思います」
「給与明細書を見せていただきたいのですが、お持ちですか?」
ちひろは頭を左右に振った。
「いつもメールでくるんです。でも出力したことなくて……今となっては、会社のパソコンを見ることもできないし……手元にはありません」
それを聞いた長谷川が、申し訳なさそうな口調でこう言った。
「天引きされていたという証拠があれば、救済措置を取ることもできます。しかし、あなたは証拠を残していないのですよね? それでは手続きをすることができません。残念ですが、あなたがお勤めになられていた会社は、極めつけのブラック会社だと言えます」
これまで同僚や先輩社員がよくブラックだと口にしていたが、ちひろはあまり気にとめていなかった。
これまでひどい扱いを受けたことがなかったし、社長のことだって信じていた。
みんなの言葉を深く考えてこなかったツケが、こんな形で返ってくるなんて――
空いている椅子に誘導されて、ちひろはそこに腰をかける。
目の前に、年の頃四十歳前後のいかにも仕事ができそうなきれいな女性が座っていた。
細い銀フレームの眼鏡をかけており、一見冷たく見えて思わず身構えてしまう。
胸には「長谷川菜月」とかかれたプレートが掲げられている。
彼女は人差し指でフレームをくいとあげると、おもむろに話しかけてきた。
「これまでの状況を詳しく説明してください」
「は、はい」
ちひろは、順を追って彼女に説明を始める。
長谷川は、ところどころで補足を求めてきたり要点をまとめてくれたりして、ちひろが話をしやすいように誘導してくれた。
その間もノートパソコンにカタカタと打ち込みをしているから、とても器用だ。
(仕事できますって感じ。すごく憧れちゃう……)
ドジばかりのちひろとは雲泥の差だ。
ひとしきり話を終えると、彼女が椅子から立ち上がり、後ろのテーブルに置いてあるプリンターから排出される紙を取り上げた。
再び正面に座ると、真面目な顔でちひろをじっと見てくる。
「中杢さん。残念なお話ですが……」
ちひろは、彼女の口から衝撃の事実を知らされた。
「あなたは雇用保険に入っておられません。つまり失業保険が支払われないということになります」
「え、でも……毎月天引きされていたように思います」
「給与明細書を見せていただきたいのですが、お持ちですか?」
ちひろは頭を左右に振った。
「いつもメールでくるんです。でも出力したことなくて……今となっては、会社のパソコンを見ることもできないし……手元にはありません」
それを聞いた長谷川が、申し訳なさそうな口調でこう言った。
「天引きされていたという証拠があれば、救済措置を取ることもできます。しかし、あなたは証拠を残していないのですよね? それでは手続きをすることができません。残念ですが、あなたがお勤めになられていた会社は、極めつけのブラック会社だと言えます」
これまで同僚や先輩社員がよくブラックだと口にしていたが、ちひろはあまり気にとめていなかった。
これまでひどい扱いを受けたことがなかったし、社長のことだって信じていた。
みんなの言葉を深く考えてこなかったツケが、こんな形で返ってくるなんて――