極上イケオジCEOのいちゃあま溺愛教育 ~クールで一途な彼の甘い独占欲~【完結】
第一章 酔っぱらって、素敵なおじさまに絡んでしまいました……
1.いつもの土曜日出勤……だったはずですがっ!?
話は、数時間前に遡る――
§§§
中杢ちひろは、社会人二年目の二十二歳。
地元の短大卒業後すぐに上京し、東京の会社に就職した。
親戚から、なぜ東京で働くことにしたのかと訊かれたとき。
田舎だと企業も少なく、職種も限られてくるからと答えていた。
すると、ほとんどのひとが納得してくれる。
だが本音は違っていた。
高校時代、好きだった先輩に、こっぴどくフラれてしまったからだ。
ちひろが好きだった先輩は、ちひろとの仲を友人にからかわれたとき、ムキになってこう返した。
「こいつは、ただの後輩だよ。小さくてガキっぽい子は、おれの好みじゃない」
みんなの前でそう言われてしまったことがトラウマとなって、知り合いばかりの地元で働くのが怖くなってしまったのである。
その失恋が尾を引いているのか、彼氏いない歴イコール年齢となってしまった。
小さな文房具の卸会社に就職し、安月給ながらも日々慎ましく暮らしている。
§§§
そんな、ある日の土曜日――
いつもより少し早めに家を出て、さほど混雑していない電車に乗り、いつもの店でカフェオレをテイクアウトしてから会社に向かう。
降り注ぐ朝日は眩しく、緑の木々もサワサワと爽やかに揺れている。
「梅雨も明けたし、いい天気。こんな日ってお仕事サボりたくなるのよねー。……といっても遊ぶ予定なんて、特にないんだけど」
会社は週休二日制だが、なぜか社長自ら土曜日出社するので、社員も出社して何かしらの仕事をすることが暗黙の了解となっていた。
休日出勤として認められず、いわゆるサービス出勤というものだが、ときどき社長がランチを奢ってくれたりスイーツの差し入れをしたりしてくれるので、ちひろはそれほど苦ではない。
「中杢ちゃんは仕事熱心だねえ。君みたいに素直で真面目な社員を持てて、ボクは幸せだよ」
社長はときおり、ちひろをそう褒めてくれた。
だからもっと頑張ろうと思ったし、休日出勤も進んで出ていた。
彼氏や彼女がいるひとたちは不満を漏らしていたが、ちひろは特に何も思わない。
「ちひろは社長にいいように使われているのよ。無理してまで休日出勤しちゃダメよ」
同僚はそう助言してくれるが、ちひろはあまりひとを悪いように思えない性格だからか、あいまいににごすだけだった。
なんだかんだいっても自分を認めてくれる社長を、悪く思えなかったのである。
そんなことを考えながら歩いていると、古い雑居ビルに到着した。
この一室がちひろの働く会社だ。
§§§
中杢ちひろは、社会人二年目の二十二歳。
地元の短大卒業後すぐに上京し、東京の会社に就職した。
親戚から、なぜ東京で働くことにしたのかと訊かれたとき。
田舎だと企業も少なく、職種も限られてくるからと答えていた。
すると、ほとんどのひとが納得してくれる。
だが本音は違っていた。
高校時代、好きだった先輩に、こっぴどくフラれてしまったからだ。
ちひろが好きだった先輩は、ちひろとの仲を友人にからかわれたとき、ムキになってこう返した。
「こいつは、ただの後輩だよ。小さくてガキっぽい子は、おれの好みじゃない」
みんなの前でそう言われてしまったことがトラウマとなって、知り合いばかりの地元で働くのが怖くなってしまったのである。
その失恋が尾を引いているのか、彼氏いない歴イコール年齢となってしまった。
小さな文房具の卸会社に就職し、安月給ながらも日々慎ましく暮らしている。
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そんな、ある日の土曜日――
いつもより少し早めに家を出て、さほど混雑していない電車に乗り、いつもの店でカフェオレをテイクアウトしてから会社に向かう。
降り注ぐ朝日は眩しく、緑の木々もサワサワと爽やかに揺れている。
「梅雨も明けたし、いい天気。こんな日ってお仕事サボりたくなるのよねー。……といっても遊ぶ予定なんて、特にないんだけど」
会社は週休二日制だが、なぜか社長自ら土曜日出社するので、社員も出社して何かしらの仕事をすることが暗黙の了解となっていた。
休日出勤として認められず、いわゆるサービス出勤というものだが、ときどき社長がランチを奢ってくれたりスイーツの差し入れをしたりしてくれるので、ちひろはそれほど苦ではない。
「中杢ちゃんは仕事熱心だねえ。君みたいに素直で真面目な社員を持てて、ボクは幸せだよ」
社長はときおり、ちひろをそう褒めてくれた。
だからもっと頑張ろうと思ったし、休日出勤も進んで出ていた。
彼氏や彼女がいるひとたちは不満を漏らしていたが、ちひろは特に何も思わない。
「ちひろは社長にいいように使われているのよ。無理してまで休日出勤しちゃダメよ」
同僚はそう助言してくれるが、ちひろはあまりひとを悪いように思えない性格だからか、あいまいににごすだけだった。
なんだかんだいっても自分を認めてくれる社長を、悪く思えなかったのである。
そんなことを考えながら歩いていると、古い雑居ビルに到着した。
この一室がちひろの働く会社だ。