極上イケオジCEOのいちゃあま溺愛教育 ~クールで一途な彼の甘い独占欲~【完結】
4.ヤケクソでホテルのバーに行ってみました
イギリスの庭園みたいな光景の向こう――
純白のウェディングドレスを着た女性と、同じくタキシードを着た男性がたくさんのひとに囲まれていた。
「結婚式……? うわぁ……夢みたいな光景……」
花嫁と花婿は、ふたりとも自分よりだいぶ年上に見えた。三十代後半といったところだろうか。
幸せそうなふたりは笑顔をいっぱい振りまき、まわりからスマートホンを向けられポーズを取っている。
「いいなあ……私も結婚したい。……相手はいないけど」
ちひろは、はぁ……とため息をついた。
空しい。
結婚どころか、二十二年間男性とつきあったことすらない。
失恋して以降、彼氏を欲しいと思ったことはあっても、いまひとつ積極的にはなれなかった。
ちひろの身長はあれから伸びていないし、大人っぽい女性になれたわけでもない。
好きなひとができても、また同じように子どもっぽいとか言われるのは辛いからだ。
でも、こんな辛い心境のときに支えてくれるひとは欲しい。
ちひろは美しく華やかな花嫁をうらやましそうに見つめ、キラキラ輝くような光景にうっとりした。
その集団が建物の中に入って視界から消えても、なかなか現実に立ち戻れない。
「ほかに花嫁さん、いないかなあ」
首を伸ばしてキョロキョロしていると、ホテルの施設紹介パネルが目に入った。
「中華料理に日本料理にステーキ専門店……レストランだけで五つもある。楽しそう」
どれも高そうな店ばかりで、ランチでも五千円くらいかかりそうである。
食欲はないが、この素晴らしい雰囲気のホテルにもうちょっと浸りたくて、バーへと足を向けることにした。
「グラスに一杯くらいならいいわよね」
人波に紛れて、重厚なエレベーターに乗り込む。
降りると、すぐにシックなバーの入り口が見え、そのまま進んでいく。
アーチ形をした木製のドアを通り抜けると、そこに長いバーカウンターとハイスツールが並んでいた。
店内は昼間だというのに薄暗く、思いのほかお酒を嗜む男女が多くいた。
そのほとんどがカップルで、ちひろは意識せず足を止めてしまう。
(やだ……わたしったら。ひとりでこんな高そうなバーにくるなんて、どうかしていたかも……)
踵を返そうとしたら初老の黒服男性が入口から現れ、ちひろに向かって一礼した。
「いらっしゃいませ。おひとりさまですか?」
純白のウェディングドレスを着た女性と、同じくタキシードを着た男性がたくさんのひとに囲まれていた。
「結婚式……? うわぁ……夢みたいな光景……」
花嫁と花婿は、ふたりとも自分よりだいぶ年上に見えた。三十代後半といったところだろうか。
幸せそうなふたりは笑顔をいっぱい振りまき、まわりからスマートホンを向けられポーズを取っている。
「いいなあ……私も結婚したい。……相手はいないけど」
ちひろは、はぁ……とため息をついた。
空しい。
結婚どころか、二十二年間男性とつきあったことすらない。
失恋して以降、彼氏を欲しいと思ったことはあっても、いまひとつ積極的にはなれなかった。
ちひろの身長はあれから伸びていないし、大人っぽい女性になれたわけでもない。
好きなひとができても、また同じように子どもっぽいとか言われるのは辛いからだ。
でも、こんな辛い心境のときに支えてくれるひとは欲しい。
ちひろは美しく華やかな花嫁をうらやましそうに見つめ、キラキラ輝くような光景にうっとりした。
その集団が建物の中に入って視界から消えても、なかなか現実に立ち戻れない。
「ほかに花嫁さん、いないかなあ」
首を伸ばしてキョロキョロしていると、ホテルの施設紹介パネルが目に入った。
「中華料理に日本料理にステーキ専門店……レストランだけで五つもある。楽しそう」
どれも高そうな店ばかりで、ランチでも五千円くらいかかりそうである。
食欲はないが、この素晴らしい雰囲気のホテルにもうちょっと浸りたくて、バーへと足を向けることにした。
「グラスに一杯くらいならいいわよね」
人波に紛れて、重厚なエレベーターに乗り込む。
降りると、すぐにシックなバーの入り口が見え、そのまま進んでいく。
アーチ形をした木製のドアを通り抜けると、そこに長いバーカウンターとハイスツールが並んでいた。
店内は昼間だというのに薄暗く、思いのほかお酒を嗜む男女が多くいた。
そのほとんどがカップルで、ちひろは意識せず足を止めてしまう。
(やだ……わたしったら。ひとりでこんな高そうなバーにくるなんて、どうかしていたかも……)
踵を返そうとしたら初老の黒服男性が入口から現れ、ちひろに向かって一礼した。
「いらっしゃいませ。おひとりさまですか?」