ドS執事の甘いおしおき。

「ご安心ください。あくまでこれは口づけではなく、調教ですので」

「調教…?」



柊斗は柔らかい表情で淡々と話し出した。

まるでこの口づけが柊斗にとっては何でもない日常の一部だったように、淡々と。



「はい。いずれお嬢様は名家のご子息とご結婚なされるかと思います。でも今のままではどの男性もきっと恋愛に関して無知すぎるお嬢様に魅力を感じないでしょう」

「そ、そんなこと…」

「ですから私がそうならないようにお教えしたんです。美しいお嬢様の魅力をさらに引き立てることが出来るようにと」



何故かすごく辛辣なことを言われたような気もするけど気のせいよね。

それより、あの口づけにはそういう意図があったのなら納得だわ。

あの柊斗がそんなお父様の言いつけを破る不純な行為はしないはずですもの。


確かに私は恋愛のことは何も知らない。恋愛に興味がないにしろ、いずれ嫁ぐ身。

知って損なことはないだろう。
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