ドS執事の甘いおしおき。
いつも敬語で距離が遠かった柊斗と近付けたように感じたから、嬉しくてたまらなかった。
ぼーっとそんなことを考えていると、柊斗の手が私の唇を撫でた。
「それにしてもお嬢様の唇は柔らかいんですね」
「へ?」
「先程、口づけを交わしたときにふと思いまして。ほら、こんなにもぷにぷにしていらっしゃる」
「~~~~!!!」
柊斗に唇を触られてパニックになったのと同時に唇の実況をされて羞恥心で頭がいっぱいになった。
「触るのは…やめて…」
「これは失礼しました。ついお嬢様の反応が可愛らしくていじめてしまいました。ですが、男性がキケンだということがご理解頂けたかと思います」
「少なくとも柊斗がキケンだということは分かったわ」
「そうでしたら大きな進歩ですね。これを機に使用人とは言えど、私も異性だということをご理解頂けたらと思います」
「肝に銘じておきます…」
柊斗はクスッと笑うと、私の方を向き直し、耳元で囁いてきた。
「俺は美桜の唇、すげー好きだよ」
私は驚いて、耳を手で押さえながら柊斗から離れた。
柊斗を見ると、満足そうに笑っていた。