ドS執事の甘いおしおき。
「お嬢様、本日のご予定の確認をさせていただきます」
メイドたちに髪を結ってもらっている私の横で淡々と今日の予定を読み上げる彼こそ、私の執事である篠原柊斗だ。
細身の黒いスーツに身を包み、白の手袋をし、分厚い予定帳を捲る姿はなんとも言えぬかっこよさがあった。
「…以上です。では私はお車の手配をしてまいります」
「分かったわ」
パタンと扉が閉まるのをメイドたちは確かめた後、それを待っていたように口々に言った。
「やっぱり柊斗くんカッコいいわね!」
「ほんと、目の保養よ」
「お嬢様は本当にいいですね!あんなイケメンが毎日隣にいて」
「あなたたちだって、柊斗と働いてるんだから同じじゃない」
確かに黒髪で唇は艶々してるから特に笑った顔は女性を魅了する妖艶さがあるため、私でもうっとりとしてしまう。
柊斗は気付いたらいて、物心ついた時にはこの屋敷に住んでいた。
そして、ちょうど柊斗が七歳の時に五歳だった私の執事になった。
その頃はとにかく遊びたかったから無理矢理柊斗をおままごとに誘って、よく旦那さんの役になってもらってたな。
その度に「お嬢様を私の妻には出来ません!」とか半泣きで言ってきて、柊斗を困らせてたっけ。