ドS執事の甘いおしおき。
「あ、うん。じゃあ、いってきます」
「いってらっしゃいませ」
「…あの、あまり変なことをお嬢様に吹き込まないでください」
「あ、はい…」
特に何も話さず沈黙のまま車に着くと、柊斗から荷物を受け取った。
「お嬢様、くれぐれも安全にはお気をつけ下さい」
「分かってるわ。それより柊斗、あなたが学校に遅れちゃうから、もう支度してきなさい」
「お気遣い、心より感謝いたします。いってらっしゃいませ、お嬢様」
「いってきます」
柊斗は私と違う学校に通っている。
まあ、私の通っている学校は女子校だし、柊斗は名門の私立高校に通ってるから仕方ないのだけれども。
噂では柊斗の成績は学年トップで運動神経もよく、また気遣いも出来るため、女子からはモテモテらしい。
そんな彼には私の家の、しかも執事じゃなくて、本社か、他の会社で自分の好きな仕事をして欲しいと思っている反面、どこにもいって欲しくない気持ちがある。