ドS執事の甘いおしおき。
それが私にはどうしても許せなかった。
もうこんな話、止めてください、そう言おうとした時、扉が開いた。
「美桜ちゃん!助けて!!」
そう言って泣きながら私に抱きついてきたのは優花さんだった。
扉が開いた瞬間に部屋中が静まったので、部屋に優花さんの声が響いた。
「優花さん、場所を変えましょう」
「うん……」
優花さんを落ち着かせて、中庭のベンチに腰をおろした。
「どうされたんです?」
「かーくんから貰った靴がないの!」
「え?」
「自分のロッカーに入れてたのになくなってたの!!」
優花さんはそう言うと大泣きしてしまった。
「失くしたとかではなくて?」
「うん。消えてた。しかも箱ごと」
誰かの嫌がらせなのかしら。
一瞬のうちに頭にその可能性が浮かんだ。
皆さんのことを疑っているわけではありませんが、先程からの発言を聞く限り、他の皆さんも優花さんに嫌がらせする理由はありそうですね。
これは調べる価値がありそうです。