ドS執事の甘いおしおき。
「柊斗、あの教えて欲しいことがあるの」
「なんでしょう」
柊斗に勉強を見てもらっているときにさりげなく聞くことにした。
やっぱり自分から言うのは恥ずかしいけど、このまま何も手に付かないのは困るわ。
そう思って、柊斗をじっと見ながら聞いてみた。
「あの時、の……その、口づけ……にはどんな意味があったの…?」
どうせスマートに答えるんだうなという予想は大いに外れた。
「………え」
いつもの柊斗なら笑顔でスラスラ答えるのに、今日だけは違ってフリーズしている。
それはまるで触れられたくないことだったかのように焦っているようにも見えた。
その返答が貰えたのは暫く経った後だった。
「…お仕置きですよ。お嬢様が誰これ構わず誘惑するので」
「誘惑?なんの話?」
「無自覚ほど恐ろしいものはないので忠告したんです。そんな顔、男と二人っきりの時にすると簡単に襲われるということを」
「そんな顔って?」
柊斗の言っていることが全くもって分からない。
大体誘惑というものはしていないし、襲われるような顔というのもしていないはずなのに。