彼はクールフェイス☆~初カノは笑顔系~
「……行かない」
「え~なんでぇ?」
さっきから繰り返される状況に、流石にうんざりしていた――――――
日曜日――
待ちに待った彼女とのデートの日。
約束の時間の少し前から、待ち合わせの場所に来ていた。
彼女のことを考えながら、ドキドキ待つ心地良い時間。
それを妨げる超ウザいこと。
「ねぇ君ぃ、イケてるね~☆私らと遊び行こうよ♪」
俗に言う逆ナン。
校内では恐がられて、絶対女の子には声もかけられないのに、なんでか外ではうるさいくらいに寄ってくる。
しかもみんな年上っぽいし……
頼むから放っておいてくれよ。
「人と待ち合わせてるから行かない」
そっぽ向いてるのに、今回のは相当しつこい。
露出度高いケバい姉ちゃん達。
このクソ暑いのに、ベタベタ楽しそうに絡み付いてくる。
むせ返るような濃い香水の匂いもうんざり。
「え~、いいじゃん。今日は遊べないってメールしたら?」
「はぃ!?」
「行こ行こ~♪」
訳わかんない理由付けて左右の腕を捕まれる。
ぐいぐい引っ張られて……相手は女だしどうやって逃れるか困っていた。
「あ………」
不意に視界に映ったもの。
少し離れたとこで、泣きそうな顔した成宮の姿。
それがくるりと背中を向けた。
あっ、泣いちゃう。
波風立てないで断ることなんかこの際どうでもいい。
彼女より大切なもんなんか何も無いんだから。
両腕に絡み付いていたものを勢いよく引きはがした。
「彼女来たからこれ以上近寄らないで」