彼はクールフェイス☆~初カノは笑顔系~
ギロッと一睨みして威嚇。
直ぐさま成宮の元へ。
でも
真後ろに立っても全然気付かない。
俯いたまま。
早くその顔が見たいのに………
「遅い」
つい冷たい言葉をかけてしまった。
ぱっと顔を上げた成宮………あっ、やっぱ泣きそう。
「どうした?」
「だって……ナンパされてたじゃん。あのお姉さん達に比べたら、私なんてカスかゴミだよ」
「…………」
成宮の消え入りそうな声。
さっきの、見られてたんだ。
今にも泣き出しそうな涙を溜めた瞳。
ヤキモチかな、ヤキモチだろうな…………嬉しい。
そんなことすら超愛おしくて………
「ばぁか」
言葉足らずの俺の精一杯の言葉は、ちょっと冷たかったと自分でも思った。
現に成宮はビックリしたようにこっちに視線をよこすし。
でもその代わり………
「……わっ」
その瞳に貯まった涙をぐいっと拭ってやった。
初めてやった、こういうの。付き合ってるけど………好きな人に触れるのは、やっぱり恥ずかしい。
「行くぞ」
そのこっ恥ずかしい気持ちを知られたくなくて(男の見栄みたいなもん)、ぎゅっと彼女の手を掴んで外に連れ出した。
俺の手の中にすっぽり納まる、その小さい華奢な手が僅かに握り返してくるのが分かる。
それがまたドキドキもんで、思わず彼女に歩幅合わせるのも忘れてずんずん進んでしまった。