彼はクールフェイス☆~初カノは笑顔系~
「ちょっ……止まって」
一人浮かれてた俺の耳に、成宮の必死の懇願が届いた時は、もう随分駅から遠ざかっていた。
ちょうど目の前は赤信号。
やべ………辛かったか。
慌てて歩みを止めた俺の横で、膝に手をついて息も絶え絶え「きっつ……」と、呼吸を整えてる。
そんな成宮を見て、さっきのことを思い出す。
「お前のがいいから」
「えっ?」
ビックリしたように顔を上げる成宮。
「お前のが可愛いとおもってるから」
改めて口にするのって超恥ずかしい。
直視できなくて視線を明後日の方に向けた。
でも本当の事。
「でも私………あんなに大人っぽくないよ。あんなに露出できないし」
そんな成宮の不安を拭おうと、なんか色々言った気がする。
あんまりよくは覚えていないけど………それでも「成宮だからいいんだ」的なことは言ったと思う。
その言葉の直後。
ふわっと表情が変わった。
俺が一番見たかった成宮の笑顔。
緩くて、超癒される。
そんな顔見せられて……キュンと胸の奥が苦しくなる。
どんなに美人だって、グラマーだって、俺はコイツが傍に居ればそれで充分。
一緒に居て、こんなに心が癒される奴他に知らない。
純粋に守ってやりたい………そう思うから。
ミュウ……って呼びたい。
一瞬口から出かかった。