彼はクールフェイス☆~初カノは笑顔系~
どうすれば……どうすればいいの?
「あ~……じゃ私も帰るね」
ふいにかけられた成宮の言葉。
ちょっと待って!
会話なんか思い付かないくせに……掴んだその手をすぐに離す気にはなれなかった。
「……ごめん、帰るね」
ちょっと困ったようにはにかみながら見上げてくる、その表情が超可愛くて。
胸が苦しくなる。
今まで感じたことが無い位の、異性に対する愛おしい気持ち……どうしよう。
「小池…君?」
どの位無言で見つめていたか、ハッと我に返る。
ポン
持っていた傘を開く。
せっかくのチャンスなんだ、まだ一緒に居たい。
咄嗟に思い付いたのは…………
「……送る」
「え……でも私んち、駅とは逆だよ?」
明らかに戸惑ってる。
逆に電車通学の俺の心配してくれて、歩いて帰れる距離だからって言うけど……でも、プライドにかけて引き下がりたくなかった。
「いいから……この前のお礼」
傷の手当のお礼と称して、強引にプッシュ。
少し考えてたみたいだけど、ふわっと成宮の表情が緩む。
「じゃ…お言葉に甘えちゃおっかな」
「ん…」
よっしゃ!大輔のお膳立てもあってか、思ったよりうまくいった♪
異性との始めての相合い傘は好きな人とだぜ?ラッキー過ぎじゃね~?
差し掛けた傘に怖ず怖ず入る成宮に、またもキュン☆となりながら、並んでゆっくりと歩き出す。