彼はクールフェイス☆~初カノは笑顔系~
そのゆっくりな歩調に合わせて、俺もゆっくり歩くように気も配ったし、彼女が濡れないように傘も余計に傾けてみたりする。
好きな人の事想ってると、こういうことって、割と普通に出来るもんなんだな。
な~んて、意外な発見。
成宮の肩が触れてる腕がほんのり暖かい。
こんなチャンスは滅多にない。今、この時間がもっと長く続けばいいのにと密に祈ったけど……そううまくはいかないもんで。
「うち……ここなの」
あっという間に到着。対した会話も出来なかった自分に若干凹みながら周りを見渡すと。
見たことある景色にはた…となる。
「ここ……」
見覚えある白い壁の赤い屋根。
もしかして………
なんて考えてたら、成宮に俺の肩が雨に濡れてたの、気付かれちゃって。
仕切に家に上がるように進められた。
ウルウル瞳で頼まれると、キュンときちゃうけど。
でもそんな家に上がり込むなんて気はもうとうなくて、とりあえず家に送れたしまぁ濡れたのはいっか…って感じだったから、門口で押し問答。
ガチャッ
玄関が開く音がして、聞き覚えのある声と同時に顔を覗かせたのは…………
「ミュウかい?」
「おばあちゃん!」
やっぱり。あの時助けたばあちゃんだった―――――――