彼はクールフェイス☆~初カノは笑顔系~
さん
◆◆◆◆
ジャー……
俺は今、好きな人の家でシャワーをあびている。
「はぁ……」
本当はあの時、すぐに帰るはずだった。
それが、なんでこんなことになったかといえば――――――
玄関から出てきたばあちゃん。
すぐにあの時引ったくりから助けた人だってわかった。
それが成宮のばあちゃんだったなんて…………あまりの偶然に超ビックリした。
そしたら急に庭先を歩いてきてたばあちゃんの身体が傾いて………成宮の悲鳴を聞いたら、もう身体が勝手に動いてた。
ナイスキャッチだった。
走り込んで自分が下になり、ばあちゃんの小さい身体を受け止める。
首尾よく受け止めたおかげで、怪我しないで済んだばあちゃんと、その時泥で汚した全身を「綺麗にするまで帰さないから!」って泣きそうな成宮に、問答無用で家の中に引きずり込まれたって訳で。
このありえない展開に、ただ身を任せるしかない。
コンコン
「これ着替え、お兄ちゃんのだけどよかったら着て?」
「ん………」
慌てて閉められる扉を見つめる。
よくわかんないけど、とにかく渡されたTシャツとGパンを身につける。
うわっ……ピッタリじゃん。
借りたタオルで頭を拭きながら廊下に出ると、なんだかワタワタ挙動不振な成宮にリビングに通された。
「飲みなさい」
ばあちゃんが渡してくれたココア。
ふわりといい匂い、俺ココア好きなんだ♪
早速熱いところをフーッと一口。
「あん時助けてくれた兄ちゃんがまさかミュウの彼氏だったなんて……嬉しいじゃないの♪」
「ごふっ」
「ごほっ」
油断した。ばあちゃんのとんでもない爆弾発言に、成宮と俺は……同時にココアを吹き出した。