彼はクールフェイス☆~初カノは笑顔系~
彼氏!?なんだそれ、なんだそれ、なんだそれ~!!
向かいの席で真っ赤な顔して咳込む成宮………そうだよ、迷惑じゃん。
もしかして好きな奴、いるかもしれないのに。
でもばあちゃんは納得してない風で。
いやいや、早とちりは止めてくれって。
俺の隣にちょこんと座ったばあちゃん、この前の話を大袈裟にして成宮に話す。
話しながら、俺の手をにぎにぎ………なんか、どうすればいいかわかんない。
年寄り特有の、長年家事を頑張ってきたカサカサの、でも暖かい手の平。
嫌いじゃないな、恥ずかしいけど。
「そういうことで。お礼がしたいからご飯、食べていきなさい」
「えっ……」
ふいにその手が、俺の手をがっちり掴んで離さない。
「おっ、おばあちゃん!?何言って…迷惑だよっ」
慌てた成宮が、いくら言っても、ばあちゃんの有無を言わさない。
そのがんとした態度と泣きそうな成宮の顔を見たら………断れないじゃんか。
「……ご馳走になります」
「はいはい、そうでなきゃ♪さて…何作ろうかねぇ☆」
ウッキウキ♪のばあちゃんがキッチンに向かうと、なんでか目の前の成宮が両手を合わす。
「小池くん…ごめんね~」
「別に……」
その可愛い過ぎる仕草が、またも胸を締め付ける。
息苦しい気持ちのやり場に困って、視線を窓の外に向ける。
「あ……」
「どうしたの?」
「雨止んだ」
俺の言葉に席を立った成宮が、カラッと窓を開けた。
「ホントだ」
すっかり暗くなった空にいくつか星が輝いてる。