はつ恋。
「信じてる。もちろん、信じてるよ。だから......うん、分かった」


――ガタッ。


お兄ちゃんは椅子から立ち上がった。

そして、有馬くんの方に体を向け、頭を下げた。


「オレの大事な妹を幸せにしてやって下さい。よろしくお願いします」

「お兄ちゃん...」


有馬くんもすかさず立ち上がり、お兄ちゃんの隣に立つ。


「お兄さん顔を上げて下さい」


お兄ちゃんの顔は、ドラマに出てくる結婚式前日の父親の表情そのものだった。

そんな大げさなことじゃないけど、

その前段階の話なんだけど、

それでも、

こんなに私を思って

こんな顔をしてくれてる。

そんなお兄ちゃんが私は大好きで、

そんなお兄ちゃんに信じてもらえて

嬉しい。

だから、私は必ず...


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