はつ恋。
「お兄ちゃん」


私は立ってお兄ちゃんの瞳を真っ直ぐ見つめた。

この想い、

どうか、

伝わって。


「必ず幸せになる。私はこの出逢いも運命も信じてる」


私のその言葉に有馬くんも深く頷き、言葉を紡いだ。


「オレも信じてます。だから、どんなことがあっても必ず日奈子さんを幸せにします。世界一幸せにします。ここに誓います」

「ふふっ。なんか結婚式みたい」


知里さんが思わず吹き出し、私達もそれに釣られて笑った。


「ふざけるな。まだ嫁には出さん」

「親父臭いよ、朝日。ってか、その前に自分でしょ?ワタシのことは野放しにするつもり?」

「何言ってるんだよ!そんなわけないだろ?!」


自分のことを棚に上げていたお兄ちゃん。

ふふっ。

笑いが込み上げてくる。


「それよりさ、早くご飯にしよう」

「じゃあ、オレ手伝います」

「お。さすが、有馬くん」

「待て待て。俺もやる」


私はそのやりとりをただ微笑ましいなと思いながら見つめていた。

この幸せが永遠に続きますように...。

そう心の奥で願ったのだった。



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信じたい、信じる。


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