はつ恋。
境内まで戻ってきて、あの場所に下ろされた。

淡いオレンジ。

赤い髪の少年。

赤と黄色の私。

2人だけの世界。

私は...

自ら飛び込んだ。


「一緒にいて。もう...もう離さないで。離れないで。ずっと、ずっとずっと、ずっーと私の側にいて。私は...私は有馬くんじゃないと嫌だから。有馬くんが...有馬くんのことが......こんなにも、好き、だから」


有馬くんは私を抱きしめ、左手で頭を撫でてくれた。


「ごめん。ほんと、ごめん。ごめん、だけど...オレも好きだから、大好きだから、日奈子のこと、大好きだからさ、これからも守らせてくれ。絶対、絶対に...もう怖い思いも悲しい思いも寂しい思いもさせないから。ずっと...ずっと側にいる」


私達はしばらく抱擁していた。

泣いて泣いて、ただひたすらに泣いて

愛が通っていくのを感じていた。

その指の先から身体の中心まで広がる熱が私達の未来を示していた。



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側に、いて。


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