はつ恋。
私は用意してもらっていたお洋服に着替え、リビングに出てきた。


「おはよ、日奈子」

「おはよう、有馬くん」

「ってかさ、いつまで"有馬くん"なんだよ。そろそろさ、灯環って呼んでくれても良くない?」


有馬くんが後ろから抱き締めながら、私の耳を噛む。


「ちょっとぉ、やめてよぉ」

「言ってくれないから、お仕置き」

「もぉ、仕方ないなぁ」


私は空気を目一杯吸い込み、肺に蓄えてから吐き出した。


「灯環」

「はい。良くできました」


頭をぽんぽんされ、私はすっかりご機嫌になった。


「よし、じゃあ、朝ご飯食べよっか」

「うん」


私は顔をゴシゴシ洗ってから席に着いた。

サラダにスクランブルエッグに食パンに牛乳。

これぞ完璧な朝食。

さすが、灯環。


「ふふっ」

「何笑ってんの?」

「なんでもない」

「ほんとかよ。嘘つくと...」


横に座っていた灯環にまたキスをされた。

何度目なの?

どんだけ好きなの?

なんて思いながらも

嬉しいんだけど。


「ついてないよ、もぉ」


朝ご飯を食べる前に濃厚キスを味わっちゃってお腹がいっぱい。

でも美味しそうだから、食べます。

私、牛乳大好きなんだよなぁ。

私の身長には良い影響ないけど、しっかり飲ませて頂きます。

牛さん、ありがとう。


「じゃあ、頂きます」

「頂きます」


私はこの上ない幸せを感じ、ちょっと泣きそうになりながらも手と口を動かしたのだった。

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