はつ恋。
「へぇ、あっちゃんに異性の幼なじみがいたんだねぇ。ねぇねぇ、どんな人？」

「普通の男です！」

「普通かぁ。じゃあ、目黒くんとその幼なじみ、どっちがイケメン？」

「えっと...それは......」


あっちゃんが私に視線を流してくる。


――助けて。


そう言ってるんだろう。


「あっちゃん、これ、どのくらいで返せばいいの？」

「あーっ、ええっとねぇ、これはもうちょっと加熱して。生地がちゃんと全体的にぷつぷつしてきてからひっくり返してよ」

「はぁい」


私とあっちゃんのやり取りを聞いていた立花先輩がぼそりと呟く。


「上手くかわしやがった。今度はそうはいかないからね！」


立花先輩はそう言うとジョッキでもらっていた、ビールに似た色のリンゴジュースをグビグビと飲み干した。


「くはぁっ！リンゴうまいっ！」

「立花先輩、将来大酒豪になりそうですね」

「木島くん、あんた密かにディスってない？」

「いや、別にそんなつもりでは...」

「許さないんだからっ！」


いくら後輩とはいえ、男子にヘッドロッグをかましちゃうあたりは、さすが立花先輩だと思う。

私、こんなに男子にベタベタ出来ないもん。

あっちゃんにだって出来ないし、されるからそれに対応しているだけで、自分からって考えるとなんか違う。

私がこんな風になるのは想像がつかない。


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