はつ恋。
「どうして、ここに?」

「あぁ、実はさ、早く来すぎちゃって、駅で知里さんに会ったんだ。そしたら、お兄さんに顔を見られたらとかなんとか言われて、遠回りルートを教えてもらって。それでここまで迎えに来たんだ」

「そ、そうだったんだ。なんかごめんなさい」


私がぺこりと頭を下げると、有馬くんの大きくて暖かい手が頭に乗った。


「なんで謝るんだよ。謝るようなこと1つもしてないだろ?」

「でも、遠回りさせちゃったし...」


有馬くんの手が離れ、今度は肩に乗った。


「オレが心配だから勝手に来ただけ。日奈子は気にするな」

「うん...」


気にし過ぎ、なのかな?

確かに緊張はしてるけど。

心臓が口から出そうなくらい、

バクバク言ってて怖いんだけど。


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