はつ恋。
「日奈子」

「あっ、はい。何でしょう?」

「気を抜くとすぐに敬語になるのな」

「うぇっ。ご、ごめん」

「まぁ、日奈子らしくて良いけど。それより、今日カメラは?持ってきてるんだよな?」

「うん、持ってきてるよ」


私は選定に30分を要したバッグからカメラを出した。


「サンキュ」

「ちょっと、待って!中は見ないで!」

「なんでだよ?オレのこと、撮ってたんだろ?本人に出来栄え見てもらわなきゃダメだろ?」

「ダメダメ!絶対ダメっ!」

「だから、なんでだよ?オレ、本人だけど?」

「だって......」


恥ずかしいから。

盗撮みたいな感じで半年間も罪を重ねて来たのに、そんなに堂々と出せるはずがないよ。


「だって、何?」

「だって...」

「教えないと......」


有馬くんの顔が私の視界いっぱいに広がる。

思わず目を瞑る。

公の前でまたあんなことされちゃったら、それこそ恥ずかしい。

なら、なんとか切り抜けよう。


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