はつ恋。
「日奈子?」

「あっ、ごめん。何でもないよ」


私がそう言ってちょっと視線をそらすと、有馬くんが手を重ねて来た。


「オレが考えてることが正しければ......ごめん」

「えっ...」

「ちょっと色々あってさ、今になった。ほんとはずっと......ずっと日奈子に会いたかった。話したかった。側にいたかった。ほんと...ごめん」


私は首を真横に大きく振った。

時々有馬くんがこんな悲しい顔をするのはなぜなのだろう。

その悲しみも痛みも分けてもらえるくらい、信頼できる...カノジョにならなきゃな。


「でも、日奈子がオレのこと好きだって確信できたから安心した」

「す、すす、しゅーっ...」


ダメ。

呂律が回りません!


「無理しなくていい。オレがずっと日奈子の側にいて、日奈子の成長、見守っていくから」


こくりと頷いた。

そうだね。

少しずつ、少しずつ、

この気持ちを素直に言葉に出来るように成長していこう。

これからは、自分1人じゃなくて誰かと一緒に成長していきたい。


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