はつ恋。
「何名様ですか?」


係員さんに聞かれ、ピースする有馬くん。


「では10番のレーンにどうぞ~」


10番......。

恐ろしいことが起こった。

なんと、最後尾になってしまったのだ。


「お。後ろじゃん」

「有馬くん、後ろって1番怖いんだよね。私、テレビかなんかで聞いたことあるよ。大丈夫かな?」


有馬くんが少しかかんで、私の目の前に現れ、にこっと笑った。


「大丈夫。オレがいるから」


その言葉に胸がキュンと鳴った。

なんて言ったらいいのか分からず、とにかくこくこく頷いた。


「よし、じゃあ、行こ」


私は緊張しながらも乗り込んだ。

腕がプルプルし出す。


「レバー下ろすよ」

「ありがと...」

「あと、オレの手、貸すから。怖くなったら全力で握って」

「うん...」


優しいよ。

なんて、優しいんだろう。

こんなにも優しい人、未だかつていただろうか。

皆私を邪見して空気みたいに扱って...。

こんなに大切に扱ってくれる人に私は初めて会ったよ。

頼りになります。

本当にありがと。

では、私も頑張って来ます!

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