翠玉の監察医 日出づる国
「アメリカの法医学研究所にいた頃、この研究所よりもたくさんの人がいました。多くの国の人がいたので、外国語を教えてもらったんです。その中にブラジルの人もいました」

楽しい思い出のはずなのに、蘭は悲しげな表情で話す。圭介たちが顔を見合わせていると、「話を戻しましょう!」と碧子が手を叩く。

「警察の捜査では事故として見られているのね。なら私たちが出る幕はないわ」

碧子がそう言い、ゼルダたちは「仕方ないよね」と言いながら仕事に戻っていく。事件性があると判断されない限り、日本では解剖されることが多い。

「でも、あそこで働いている外国人労働者の人は「仕事に殺された」って言ってましたよ!」

圭介がそう言うと、マルティンが書類から顔を上げて言う。

「東南アジアなどの地域では、日本はとても豊かな国として見られている。日本で何年も働けば家族を養えるほどのお金がもらえるんだ。だから、この国に借金をしてまで出稼ぎに来る人もいる。この国は夢の島とまで言われているんだ」
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