翠玉の監察医 日出づる国
そう言い部屋のあちこちを見ている圭介に対し、蘭は部屋に飾られた家族写真を見ていた。リヴィアとミゲウ、そしてベルナルドの三人で撮られた写真の隣にブラジルで撮ったのであろう写真が飾られている。そこには背の高い男性も三人と一緒に写っていた。

「それ、僕らの父さん。兄さんが日本に出稼ぎに行く三年前に交通事故で死んだ」

ベルナルドが蘭にそう言い、蘭は「そうだったのですね」と写真を見つめた。優しい笑みを浮かべるベルナルドの父とミゲウの笑っている顔はそっくりだ。

「私は、こんな風に笑えません」

蘭はそう言いエメラルドのブローチを握り締める。圭介は蘭にかける言葉を探し、ベルナルドは首を傾げていた。その時、「できましたよ〜!」と明るく言いながらリヴィアが現れる。

「せっかくなので、ブラジル料理をご用意させていただきました」

リヴィアはそう言い、テーブルの上にブラジル料理を並べていく。日本のカレーのような煮込み料理であるムケッカに、ブラジルのレストランに大抵置いてある定番のサラダであるというパセリのサラダであるタブレ、デザートにはブラジルのプリンであるプジンジレイチコンデンサードが用意された。
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