翠玉の監察医 日出づる国
「うわぁ〜!おいしそうです!いただきます!」

圭介は嬉しそうに言い、料理を口に運ぶ。そして「おいしいです!」と笑顔で言った。蘭もムケッカを口に運ぶ。ブラジル料理を口にするのは初めてではない。しかし、こんなにおいしいブラジル料理は初めてだ。

「とても、おいしいです」

蘭がそう言い微笑むと、「嬉しいです!」とリヴィアは笑う。そして「ミゲウもムケッカが好きでした」と呟いた。

「あの子は、家族思いのいい子でした。夫が亡くなって生活が苦しくなった頃、「日本語を勉強して日本に行く。楽をさせてあげる」と言って日本に行ったんです。そして一生懸命働いて、私とベルナルドを日本に住まわせてくれました。でも、こんなことになるなんて……」

リヴィアが涙をこぼし、ベルナルドがそばに寄り添う。そして言った。

「兄さんは、小向工場で働き出してから家に帰って来られなくなった。必ず、死因を見つけて……」

悲しげな目を向ける二人を見て、蘭は「もちろんです」と言う。その時、誰も知らなかった。この会話を聞いていた人物がいたことを……。
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