翠玉の監察医 日出づる国
「何故……何故……あなたが!」

蘭の目の前にいたのは、自分がよく知っている相手だった。仲間だと信じていた人物だった。その人物は蘭に銃口を向ける。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

蘭は叫び、飛び起きた。圭介が「神楽さん!?」と驚いた顔をし、近づいてくる。その手を蘭は素早く握り締めた。

「星夜さん、ここにいてください!離れないで!お願い!」

感情をあらわにしない蘭は今、幼い子どものように泣いていた。そんな蘭の体に優しく腕が回される。

圭介の腕の中で、蘭は再び意識を失うまで「星夜さん」と名前を呼び続けていた。





< 29 / 30 >

この作品をシェア

pagetop