翠玉の監察医 日出づる国
「圭介、お前はどう思う?って食べてないじゃん」
圭介はずっと本を読んでいて、ゼルダの使ってくれたケーゼトルテを食べていなかった。
「すみません。本に夢中になっていました」
「へえ、どんな本?」
ゼルダが蘭を離し、圭介に訊ねる。圭介は本の表紙を見せながらあらすじなどを話していく。最近人気のミステリー小説家の書いた作品のようで、法医学をテーマにしているらしい。
「主人公がかっこいいんですよ!出会う人全ての声を聞いて事件を解決に導いていくんです!」
楽しげに語る圭介を見て、蘭は胸元につけられたエメラルドのブローチに触れる。その瞳が揺れ、マルティンが「蘭?どうした?」と蘭に近付いて優しく声をかける。蘭はマルティンを見つめ、言った。
「……今まで、たくさんのご遺体に向き合ってきました」
「うん」
「まだ産まれたばかりの赤ちゃんや年配の方まで多くのご遺体を解剖して、その最期を知り、その人の人生を知りました」
「うん」
圭介はずっと本を読んでいて、ゼルダの使ってくれたケーゼトルテを食べていなかった。
「すみません。本に夢中になっていました」
「へえ、どんな本?」
ゼルダが蘭を離し、圭介に訊ねる。圭介は本の表紙を見せながらあらすじなどを話していく。最近人気のミステリー小説家の書いた作品のようで、法医学をテーマにしているらしい。
「主人公がかっこいいんですよ!出会う人全ての声を聞いて事件を解決に導いていくんです!」
楽しげに語る圭介を見て、蘭は胸元につけられたエメラルドのブローチに触れる。その瞳が揺れ、マルティンが「蘭?どうした?」と蘭に近付いて優しく声をかける。蘭はマルティンを見つめ、言った。
「……今まで、たくさんのご遺体に向き合ってきました」
「うん」
「まだ産まれたばかりの赤ちゃんや年配の方まで多くのご遺体を解剖して、その最期を知り、その人の人生を知りました」
「うん」