翠玉の監察医 日出づる国

「蘭〜！おはよう！」

ゼルダが蘭に抱き付き、マルティンとアーサーが「蘭が潰れるぞ」と苦笑しながら蘭に挨拶をする。そして圭介からも「おはようございます、神楽さん」と挨拶をされた。

「おはようございます、深森さん」

蘭が挨拶を返すと圭介は頬を赤く染める。それをチラリと蘭は見てから自分のデスクに向かい、今日の解剖の予定などを見始めた。その時、碧子が部屋で鳴り響く電話を取る。

「小向工場で外国人の死亡事故が発生したそうよ。桜木（さくらぎ）刑事が来てほしいと連絡してきたわ」

「また小向工場で……」

碧子の言葉にアーサーが「最近多いな」と呟く。ゼルダとマルティンも「安全対策をしていないのかな」と話していたが、蘭は無表情のまま立ち上がる。そして圭介を見つめ、「行きましょう」と声をかけた。

「現場には私と深森さんが行きます」

蘭がそう言うと、碧子は「お願いね」と微笑む。蘭は頬を赤く染める圭介を連れて部屋を出て行く。その手はエメラルドのブローチにあった。