翠玉の監察医　日出づる国
「探偵なら問題ないな。入って大丈夫だよ」

「ありがとうございます」

蘭と圭介は黄色のテープをくぐり、小向工場の中へと入っていく。工場内には様々な機械が置かれ、普段は多くの人がここで働いているのだろう。しかし、機械が動いていない今、工場内は静まり返っている。

「工場の二階に向かう階段から落ちたらしいんだ」

工場の階段下に遺体が転がっていた。肌は日本人より色が濃く、目が大きく鼻が高い。

「亡くなったのは、この工場で働いているブラジル人のミゲウ・オリベイラさん。二十八歳。三年前からこの工場で働いているんだ」

桜木刑事が説明をし、蘭はジッと遺体を見つめる。遺体は大きく目を見開き、体からは血が流れていた。

「突然階段から落ちて怖かったでしょうね……」

圭介がポツリと呟く。蘭は桜木刑事に「遺体の第一発見者にお話を伺いたいです」と言った。桜木刑事に案内され、蘭と圭介は事務所の方へと向かう。
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