白夜の天使たち 〜ホストでパパで彼氏です!〜
私は慌てて貯水タンクに備え付いた小さなハシゴを降りる。

ラスト2段ぐらいは飛び降りる勢いで。

「あっ……橙子、忘れ物っこれっ!」

陸斗が、タンクの上から私のレジ袋を手にする。

「あげるっ、陸斗に…。肉、食べたら正気に戻るよっ。(笑)」

私は陸斗に手を振った。

チュッ……ぐらいの軽いキスに、まだ胸がバクバクする。

あまりの衝撃に頭がパニックしている。

相手を傷つけるって…簡単。

浮気なんて…簡単。

不倫って…簡単。

普通の人には、とても簡単な事なんだ。

普通な…だけに。

心っていう…形のない不安定な箱の中に…信頼はある。

この軽いキスも…

あのキスも…

私はレイジ君の濃厚なキスを思い出した。

そして、ヒカルの言葉も……



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