白夜の天使たち 〜ホストでパパで彼氏です!〜
ヒカルに手首を掴まれて、私は少し躊躇しながら着いて行く。

カウンター横のプライベートと書かれた扉は、突き当たりにあのスタッフ用トイレがあって…大型冷蔵庫、カウンターへ繋がる厨房がある。

使用済みおしぼりのカゴ、乱雑に置かれた空ビン…ゴミ袋、スタッフ用ロッカーなど…、

こんな所にVIPルームなんて……??

てか、このボーイズバーにそんな部屋あんの?

どう見ても、バックヤードですけど…ここ。

ヒカルは“ 非常口“ と書かれた古い扉の前でドアノブに手を置くと……

「橙子、今日は君が一番VIPだよ!!」

そう言って国宝級の笑顔で私に微笑んだ。

No.1の王子様に魔法をかけられる瞬間……
みんな…狂ってしまう……

自分という危うい存在に迷っているのだから。

みんな…危うい自分を抱えている。
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