白夜の天使たち 〜ホストでパパで彼氏です!〜
「ほら、見て!ひまわり。
この間…植えた種、もう芽が出てるっ!」

「本当だ。」

陸斗は、重いジョーロを軽々と持ち上げてひまわりの芽に水をかける。

「ひまわりでさえこうやって芽が出るのに…俺さぁ、種が無いらしいよ。」

「………………。」

「子供が出来ないのは俺のせいなんだ。」

えっ……。

「陸斗…………。」

思わず…動揺を隠して自然を装う。

「それなりに努力はしたんだけどさ。
でも、もう嫌になってきちゃってさっ…。
早紀の想いに応えてあげられない自分が情けなくってさ。」

「そう……なんだ。」

私は、ひまわりの小さな芽に視線をうつす。

「陸斗、まだ…わかんないよ。
聞いたことあるし。 子供は無理って言われてた夫婦に何年かして…って話。
何度か聞いたことあるよ。」

「早紀がすごく落ち込んで、寂しがってた。女だから…子供を産みたいって。
ほら、坊主!もう持てるぞ、軽くなった。」

陸斗は水が半分になったジョーロを煌君に手渡そうとする。
< 238 / 417 >

この作品をシェア

pagetop