白夜の天使たち 〜ホストでパパで彼氏です!〜
「橙子先生は、可愛い人ですね。そして…優しい先生ですね。
俺は…お仕事でもいいから抱きしめて欲しいです。」


たまに…心の中が悲鳴を上げそうになる。

私だって…泣きたいって。

疲れた…って。


「優しくすることに疲れちゃっただけだよ。
ホントは皆んな…誰かに優しくする前に優しくされたい。
そうなんじゃないの?」

…………。

そう……かも。

本当に…そうかも。



「ねぇ、先生。愛情って…貯金できると思う?」

「へ?…………。」

「できないから…メンドクサイ…。」

ヒカルの目力はグッと私を捕らえて離さない。

こんなに…色っぽい瞳を見たことがないかも。

「で…出来るよ。
愛情の貯金………。ヒカル君が今、こうして生きてるのは愛情の貯金があるからだよ。
自己肯定……それって…愛情の積み重ねだと思うの。」

「(笑)俺には分かんないな。
確かに…ホストしてた頃は愛情の分だけ貯金も増えたし、自己肯定ってやつも…No.1っていう数字で分かったけど。」


違うってーーーーーーーーっ。

そういうんじゃなくて…。

お金とか数字じゃなくて。



「なんか…違うけど、とにかく出来ると思うの。愛情の貯金。
誰かに愛された記憶は、ずーと永遠に貯金されるんだよ。そして誰かを愛せるようになる。
無償の愛。
例えば…簡単に言えば親からの愛情とか。」






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