白夜の天使たち 〜ホストでパパで彼氏です!〜
私はエレベーターを降りると、なんとなくの違和感を覚えて…隣の非常階段を駆け上がった。


さっきの…女の人。

エリさんだったよね……?!

そして…何?

この胸騒ぎ。


「光留っ!……光留っ?!」

息を切らせて屋上に辿り着く。

ベンチの横に立ち尽くす、エリさんを捕らえると私は思わず足を止めた。

「なんで……。どうして……?」

エリさんの右手は真っ赤に染まって、私に気付くと…こちらに首を向けて薄らと笑みを浮かべた。

首筋を抑える光留の後ろ姿は…まるでスローモーションのようにベンチに崩れて横たわる。

ベンチの下にポタンポタンと滴る血液を見ても…理解することに数秒……


なんで……。どうして……?

私の背後で、後から来た人が悲鳴を上げる。
< 396 / 417 >

この作品をシェア

pagetop