白夜の天使たち 〜ホストでパパで彼氏です!〜
その声に、我に返る。

「きゃーーーーーっ!!!!
ドクターっ!!ドクター呼んでっ!!」

後から知ったけど、その人は点滴を呼びに来てくれた看護師さんだったらしい。

「いや……っ。光留っ!!
光留ぅーーーーーーーー!!」

走り寄ろうとする私に光留は少し身体を起こそうとする。

「く…来るな。橙子……逃げ…て。」

光留の血のついたナイフを握るエリさんは、ケタケタ笑う。

まるで、少女のような…天使が戯れ合うような…透明感のある無邪気な笑い声。

ベンチに広がっていく血溜まりを見て、私はやっと悲鳴を上げる事が出来た。

「どうしてっ!!どうしてっ……!!
エリさんっ……!!」

彼女は、虚な目で私を見て…ナイフを持つ手を子供の様にぶらぶらと振り回しながら、途方に暮れたような口調で、唇を尖らせた。
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