白夜の天使たち 〜ホストでパパで彼氏です!〜
「愛情の貯金は…どうやったら出来ますか?」

静かな、車内。

ヒカルの声のトーンが真剣に聞こえた。



…………………。


頭が痛すぎる……。


「親がいない僕には…愛情の貯金の仕方が分かりません。だから…誰かを愛することも、分かりません。教えて…橙子先生。」


ヒカル……?

なんだか意識が朦朧としていて……

記憶が薄れてしまいそう。

私はぼんやりと夢の中でヒカルの質問に答えようと言葉を探した様に思う。

何を言ったのか…

何をしたのか…

覚えて…いない。



人生最大の不覚。


ただ…ヒカルの香水の匂いとほんのり煙草の香り…それだけが私の髪や衣服に残っていた。

家に帰ったと思われる私は、まだ夢の中でヒカルの肩に頭を置いたまま…

記憶が混乱していた。

一人…アパートの玄関で倒れ込みながら、ヒカルのことばかり考えながら…

いつしか深い眠りについてしまったみたい。
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