白夜の天使たち 〜ホストでパパで彼氏です!〜
しっかり者の女子が、床にぺしゃんと座り込んで自分の鞄をぎゅっと胸に抱え込む男の子を指差した。

「ほらっ…カバンの中に隠してるのっ。」

煌君は目もぎゅっと閉じたまま…聞こえないフリ。聞かない意思を頑なにアピールして蹲っていた。

女の子はまるで敵の首でも取ったかの様に誇らしげに正義の印籠を私に突き付けるような態度。

「まぁ。煌君、去年から言ってるでしょっ。保育園にオモチャを持ってきてはいけませんっ!」

なつめ先生が、意地になっている煌君に声をかける。

「………………。」

黙り込んで、唇を噛む煌君。

初めてこの子を見た時から気になった。

七夕祭りの絵で後ろ姿を描いた子。

4歳児クラスの他の子に比べて少し小さめ。

茶色に染められた髪。

タバコの香りと男の人の香水の匂い……。

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