白夜の天使たち 〜ホストでパパで彼氏です!〜
私は、やっぱり指輪をスウェットのポケットに仕舞った。

レジ袋を地面に置くとフェンスにグデっともたれかかる。

あ………このうえ…仕事まで思い出した。

明日までにクラスだより仕上げなきゃ。


吐きそうだよ。

2回ほど…えづいたりする。

気持ち悪くなりながらも顔を上げて黒い影の観覧車を見つめる。


「吉沢?吉沢じゃね?」

……えっ?

誰?こんな所で私を呼ぶ声に驚いてキョロキョロする。

「ほら、やっぱ橙子じゃん。」

まだキョロキョロする私に大きな貯水タンクの上から彼はもう一度、声を掛けてきた。

「………!! 陸斗っ? 田崎陸斗っ。」

「(笑)そっ。てか、久しぶりにフルネームで呼ばれたっ。」

そう言って彼は貯水タンクの備え付けのハシゴを降りてきた。


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