悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
「お前と同じように考えているのかどうかということだ」

 伸びてきたアンドレアスの手が、レオンティーナの髪をひと房、すくい上げる。レオンティーナは、固まってしまった。
 こちらをのぞきこんでくるアンドレアスから、目をそらすことができない。

(……この人は)

 アンドレアスは、何を考えているのだろう。
 彼の望みは、この地では、かなえられないことだろうか。
 いつか、都に帰りたいのだろうか――皇子としての地位を取り戻して。そう望んでいるのだろうか。
 それとも、反乱でも起こそうというのだろうか。この地は貧しいし、彼の個人的な財産も半分以上は没収されたと聞くから、兵をあげるだけの余裕はなさそうだけれど。
 すくい上げたレオンティーナの髪を、アンドレアスは指の先に絡めてみたり解いてみたりともてあそんでいる。その様子から、とても女性に慣れているということがレオンティーナにも伝わってきた。

「ヴィルヘルム様が、どう思っているのかなんて……私には、わかりません。ただ」
「ただ?」
「ヴィルヘルム様は、皇帝陛下の期待に応えたい、そう考えていると思います」
「父上の期待か――」

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