悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 その予感に、アンドレアスとは距離を置くことを選択した。ヴィルヘルムとの関係が深くなったというのもその理由だ。

「ふん、もっと早く行動を起こしていたらよかったな」

 アンドレアスは、息をつく。
 行動を起こすって、いったい何をやろうというのだろう。

(考えてみたら、私、この人のことは何も知らないのだわ……)

 もし。
 不意にそんな予感がレオンティーナをとらえる。
 もし、もっと早くアンドレアスと向き合っていたならば。
 両親と向き合い、新しい家庭を築いたように。アンドレアスとの距離を必要以上に置くことなく、正面から向き合っていたならば。アンドレアスがこの地に送られることはなかっただろうか。

(いえ、今になってそんなことを考えても仕方ないわ……)

 そっと、アンドレアスから距離を置く。

「明日も早いので、失礼いたします。殿下」
「――ああ」

 距離を置いてから一礼する。アンドレアスは、それ以上深く追求しようとはしなかった。

(……ああもう――!)

 本当にいつだって、気づくのが遅すぎるのだ。
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