悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 台の上にまな板を置き、大きな包丁で切り分けているのだが、レオンティーナが包丁など持ったことあるはずもない。危なっかしい手つきに、ソニアは側でおろおろとしている。

「ソニアは、上手に切れるのに。どうしてうまくいかないのかしら」

 諦めて包丁を投げ出し、レオンティーナは嘆息した。
 包丁を握って、芋を切る。側で見ている分には簡単なように見えていたのに、どうやらそういうわけにもいかないらしい。

「……俺もやってみようか」
「ヴィルヘルム様も?」

 レオンティーナと場所をかわり、ヴィルヘルムは包丁を握る。種芋を左手で取り上げながら、彼は言った。

「レオンティーナは、顔を洗ってきた方がいい。泥がついている」
「……え?」

 ソニアの方に視線を向ければ、ゆっくりと首が縦に動く。どうやら、作業に集中するあまり、泥がはねたのにも気づかなかったようだ。

「あ、洗ってきます……」

 レオンティーナがその場を離れると、ソニアもあとからついて来た。

「いやだわ、もう……ヴィルヘルム様と久しぶりにお会いするのに、私ってば泥だらけだなんて!」

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