悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 予定では、ヴィルヘルムが戻ってくるのは今日の夕方だったはずだ。彼が戻ってくる時間に合わせて、湯を使い、綺麗にするくらいの時間が取れるように計画していた。
 それなのに、こんなに早く帰ってきてしまうなんて。できれば、綺麗に身支度を調えてから会いたかった。

「でも、ヴィルヘルム様もレオンティーナ様に会えて喜んでいらっしゃいましたよ」
「そ、そう……?」

 ヴィルヘルムも、そう思っていたのならうれしい。思わずしまりのない表情になりそうなのを、懸命にこらえ、顔を洗ってから元の場所に戻る。

「――アンドレアス殿下?」

 けれど、レオンティーナはその場で固まってしまった。
 なぜ、なぜアンドレアスがこの場にいるのだろう。しかも、ソニアが包丁を握っていた場所を占領している。

「お前、こんなことまでやっているのか」
「先ほどまでは、レオンティーナがやっていたぞ。そっちは侍女のソニアが使っていた」
「ああ、あの侍女か。茶色い頭の」

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