悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 すでに、何冊も刊行されているのだが、主人公の相手役である男性が、ルイーザの好みにぴたりとはまっているのだという。
 あいにく、レオンティーナはまだ読んでいないので、彼女がどんな小説を好んでいるのかまではわからなかった。

(……なるべく早く、私も読まないといけないわね。ルイーザ様が、感想を聞かせてほしいと言っていたし)

 ルイーザが散歩に出ないのなら、屋敷に戻ろうと思っていたら、ヴィルヘルムがレオンティーナを誘う。
 彼の誘いを断るという選択肢は、レオンティーナにはなかった。

「何をそんなに焦っているんだ? 君が気にかけていた議題も、次の御前会議では出せることになっているだろう」
「……ええ。私、そんなに焦っているように見えますか?」
「見えるよ。君は、いつだって自分のことが後回しになるから心配なんだ」

 ヴィルヘルムは、レオンティーナの手を取った。そのまま、指を搦めるようにして繋ぎ、レオンティーナを庭園へと連れ出す。

「自分のことを後回しにしているつもりはないのですが」

 自分はよくばりだとレオンティーナは思う。
< 139 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop