悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 まだ、完全に止めることができたかどうかはわからないけれど、少なくとも、あと数年で滅びるということはないと予想している。

「私は、何も……ただ、このところ……よく眠れないんです。本当です、それだけで――」
「では、眠れない原因は?」
「……そ、れは……」

 うろうろと視線をさ迷わせてしまったのは、後ろめたさからか。ヴィルヘルムがレオンティーナを気にかけているのはわかっているのに、彼には話せない秘密がある。

「レオンティーナ」
「ごめんなさい、ヴィルヘルム様。たぶん……たぶん、自分の力のなさが嫌になっているのだと思います。焦ってもしかたがないってわかっているのに……」

 この国は、いったん滅亡への歩みを止めることに成功した。
 だが、これから先はどうなる?

 かつて、アーシア王国がこの国を亡ぼす要因になったことなど、誰に言っても信じない。
 改革案一つ、御前会議の議題に乗せるのに手間取っているのに、こんなことでこの国の滅亡を防ぐことはできるのだろうか。

(……ヴィルヘルム様に嘘はつきたくないのに)

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