悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 ヴィルヘルムが気遣ってくれているのに、レオンティーナは嘘を吐いている。どうしたっていたたまれなくなるし、彼の目を正面から見ることもできなくなった。

「……そうか、わかった」

 けれど、ヴィルヘルムはレオンティーナに無理強いしたりしなかった。
 気がついた時には、腕の中に抱え込まれている。その腕の力強さに、なんだか泣きたくなるような気がした。

「俺が頼りないから、君は肝心のことが言えなくなる」
「いえ、違います、そういうわけじゃ……」

 この胸の痛みを、どう説明したらいいのだろう。

(いえ、違うわ……)

 ヴィルヘルムの肩に額を預け、身じろぎもしないまま唐突にその答えにたどり着いてしまった。

(私は、知られたくないんだ……ヴィルヘルム様に、私の醜さを)

 かつて、帝国を滅びの道に追いやった史上最悪の皇妃レオンティーナ。他人の痛みになど無頓着であった過去をヴィルヘルムには知られたくない。
 そう思ってしまうこと自体、レオンティーナの傲慢さなのかもしれなかった。
 大切な宝物のようにレオンティーナを抱えている彼の腕はこんなにも温かくて優しいのに。

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